日本の火葬場・斎場事情

法律的には火葬場は民間でも設置が可能

日本ではほとんどの地域において対応する火葬施設があり、ハード面において火葬が不可能という地域はほとんどありません。現在では国内の火葬の割合は99.9%を超えています。
しかし、その一方で火葬施設には実に多くの形があります。全国的に統一されたルールはなく、国として火葬施設とはこういうものであるという定義なく全国的に普及しています。
火葬施設に関する法律としては、「都市計画法」「建設基準法」そして「墓地、埋葬に関する法律」があります。都市計画法第11条および建設基準法第51条によって都市施設として位置づけられているため、火葬施設は都市計画決定なしでは設置することができません。
また「墓地、埋葬に関する法律」の第4条および第10条では火葬は火葬場でしか行ってはならず、また火葬施設の運営は都道府県知事の許可を受けなければならない、と定められている。

「新規に」火葬施設を民間業者が建てるのは難しい

法的に定められている訳ではありませんが、厚生省の運営方針では「火葬場の運営主体は原則として市町村などの地方自治体であるべき、それが難しい場合でも公益法人もしくは宗教法人に限る」としています。
このように火葬に関してそして火葬場に関する概要的な規定はあるものの、その建設や運営に関して明確なルールが作られておらず、その実態はそれぞれの自治体の状況に任されているというのが現状です。
もし新たに民間業者が火葬場を運営しようと考えてもよほど状況が整っていない限り許可が受けられないでしょう。

現在操業している民間の斎場は古くから操業しているもの

現行の火葬場のほとんどは公営の火葬場です。現在稼動している民営の火葬場は歴史的に古く、上記の法律や方針ができる前から操業しているものです。現在新たに民間で火葬し施設を作ろうとしてもなかなか許可は下りませんが、既に操業しているものは既得権として認められています。
このように古くから火葬を行っている民間業者が多い地域として東京があります。東京の区部は火葬のおおよそ85%が民営の火葬場でまかなわれていますが、これは全国的に見ても非常に珍しいものです。全国の政令指定都市12市を見てみても民営の斎場は横浜市に一箇所、大阪市に一箇所しかありません。

新たに作られる火葬施設はほぼ全て公営のもの

全ての人が火葬するということを前提に考えたときに火葬施設は必要不可欠な施設です。また民間で建設することがほぼ不可能である以上公共のサービスとして捉えることができますが、明確にその責が自治体にあるわけではなく、そんな状態の中でも国民の99.9%以上が火葬を行っているというのが日本の火葬の現状なのです。