自身が亡くなったときのことをあらかじめ決めておく

葬儀はあらかじめ準備する時代に

最近では終活を行う人も珍しくなくなってきました。多くの葬儀業者によって生前見積もりや式場の見学会、また終活に関するセミナーなどが開かれており、自分のためもしくは自分の家族のためにそうしたサービスが利用されています。こうした終活が広がった理由は大きく分けて二つあります。一つはさまざまな情報が簡単に手に入るようになったことがあります。以前はなかなか他人に聞きにくかった葬儀に関しての情報も比較的簡単に手に入るようになり、比較することが以前よりも簡単になったことです。
もうひとつは、生きている間に葬儀の準備を行える状況になったことです。

以前は亡くなる年代がまばらだった

現在の亡くなる人の年齢を見てみると65歳以上で亡くなる人が全体のほとんどを占めています。2000年代に入ったころに亡くなる人の5分の4が65歳以上です。
亡くなる人の80%が65歳以上なんてあたりまえじゃないの? と考える方もいらっしゃるかもしませんが65歳以上でも元気に働く方がこれだけいる現在の日本というのは非常に珍しいことなのです。
80歳以上に焦点を当ててみると、昭和の初期には年間の死亡者を年齢で分けた場合、全体の3~5%ほどしかいませんでした。この数値が約50%である現在、どれほど長く健康に日本人が生活できているかがわかることでしょう。以前は現在のように歳をめしてから老衰で亡くなるということは非常に稀だったのです。

死に向き合い、自分の死に責任を持つ

多くの人が天寿を全うできるようになった現在はそれだけ死に対して向き合う時間が長くなったとも言えます。衛生環境や医学がまだまだ進歩していなかったときは、常に死というものを意識しながらもそれに対して準備をすることなどなく生活をする人がほとんどでした。現在のように高齢になった親を看取ってから、そろそろ自分のことも考えなくてはなどと考える余裕はなかったのです。

葬儀の準備ができるようになって亡くなる本人の希望も葬儀に伝えることができるようになってきました。迷惑をかけたくないのでできるだけ質素に、好きなものがあるのでそれとともに葬儀や供養をしてほしい、など自分が死んだ後のことではあるものの希望を出すことができるようになってきたのです。これは遺された方からすると非常に助かることなのです。葬儀の主体はあくまで亡くなる人。その人がどうしてほしかったか、ということは葬儀を考えるうえで最も強い意見になります。そうしたベースを作ってあげることで葬儀の準備が簡単になり、手助けにもなるのです。

そうした中でひとつ困ったことがあります。それは葬儀の式場をどこにするのか、という問題です。葬儀は他の式とは異なりあらかじめ日程を決めておくことはできません。亡くなる人が出て初めてその日取りを決めるのです。そのためあらかじめ式場を予約しておくことはできません。
本人が質素な葬儀を望んでいた場合、亡くなった直後に公営斎場の式場に空きがあるかどうかを確認すると良いでしょう。公営斎場は公的な施設であるため利用料金が非常に安く、葬儀費用を抑えるうえで非常に役に立ちます。しかし、そのため利用したいと考える人も多く、すぐに予約が埋まってしまうという難点もあります。亡くなってからできるだけ早く公営斎場に連絡することで斎場を確認することで、その後どの斎場を利用して葬儀を行うか決まるため、葬儀業者との打ち合わせもスムーズに進めることができます。