終活を通じて遺族への負担を減らす
そもそも終活とは
「終活」という言葉は比較的最近になってできた言葉です。もともとは大学生が自身の就職先を決めるために行っていた「就職活動」の略語である「就活」をもじって作られたものです。
「終活」という言葉自体は最近できたものですが、こうした活動自体は古くから行われていました。例えば古くは武士や貴族などの相続に関する準備や生前からお墓を作る行動なども広い意味で言えば終活の一環と言えるでしょう。
相続に関して取り決めなければならない場合には以前から終活は行われていた
一部の権力者や特権階級などの富裕層を除いて終活というものはあまり行われてきませんでした。その背景には、さまざまな要因があります。主たるものとしては経済的状況や本人への気遣いがあるでしょう。
経済的状況というのは、その人が亡くなることによって発生する相続や損失のことです。特に富裕層の場合、その人が亡くなることによって財産の権利が移動します。相続をするにあたって生前にきちんとルールを取り決めておかなければ、継承者やひいてはその家そのものに大きな禍根を残すことになります。そのため富裕層にとって相続の問題は非常に重要なことだったのです。
また、古くは生きている間にお墓を作ることは長生きへのゲン担ぎであり、非常に良いことだと見られていました。
生前の段階で葬儀やお墓の話をすることは一種のタブーとされた
ふたつめの本人への気遣いに関しては死というものに対する人間の根源的な忌避感があります。1980年代までは死に対してタブー視する傾向にありました。本人が生きている間に死んだあとのことを話すのは験が悪く、本人にとっても不敬であると考えられたのです。
しかし、そうした験や不敬ということ以上に現実的に起こった多くの問題によって終活の意識は高まっていきました。
孤独死の増加が終活への意識の転換期に
そうした意識を高めたのは単独死(孤独死)の増加です。高齢化・核家族化が進み、一人で生活をしている高齢者の数が増加してくると、単独死や孤独死の数は増加していきました。そうした社会状況を鑑みて、多くの人が自分の死や死後の周りの人のことについて考えるようになったのです。
終活において取り上げられたのは、相続やお墓のことだけでなく、葬儀についても同様でした。亡くなったあとの葬儀をどのように行うのかついて、本人の意思をはっきりしておき、家族葬で行うのか一般葬で行うのか、大きな式場で行うのか小さな式場で行うのかということなどを生きていて意思がはっきりしているうちに取り決めることによって、自身が亡くなったあとの家族の負担を減らすことができたのです。
遺る人の負担を少しでも減らすために
実際に終活を行う際には、自身で葬儀についてきちんと調べておき、できるだけ詳細にその内容を取り決めておいたほうがいいでしょう。葬儀の形式や葬儀業者、葬儀を行う式場などを詳細に取り決めておくことで実際に葬儀を執り行う喪主や遺族の方の負担を大きく減らすことができるからです。
葬儀を行うのは本人ではなく、遺された人たちの仕事です。しかし、その意思決定に関しては本人の意思も大きく尊重されます。財産に関する内容だけでなく葬儀についての内容も詳細に残してあげることで禍根や負担を次の世代に残さないようにすることができるのです。