葬儀を行う施設「斎場」そのもともとの意味と現在の意味は

斎場はもともとは神事を行う場所のことだった

斎場とはもともと神道で神事を行う場所のことを指していました。しかし現在では葬儀に関する施設のことを指しています。では葬儀に関する斎場とは一対どのようなものなのでしょうか。

葬儀関連施設には「葬儀式場」と「火葬施設」がある

葬儀関連施設は用途によって大きくふたつに分けられます。ひとつは葬儀を行う場所である葬儀式場。もうひとつは火葬を行うための場所である火葬場です。先に全国的に普及していったのは火葬場です。日本では早くから火葬が行われていました。世界的な傾向を見ても火葬というのは人口が集中した地域で行なわれることが多いのです。その背景には人口が集中した結果、遺体を埋葬するためのスペースが十分に確保できないということ、またそれだけ人口が増加する時代には遺体を火葬するのに十分な技術が確保できているということから火葬が行われるようになるのです。また時代が進み医学が発展するにつれて感染症や衛生環境などに関する考え方が変わっていき火葬が行われるようになったのです。日本では江戸時代ごろから火葬が行われるようになりました。同時代の世界の主要都市よりも人口が集中した江戸や大阪の町では火葬が行われていたのです。明治時代に入り一度は火葬が禁止されたものの、現実的な事情からその禁令はすぐに撤回されました。それから日本では次々に火葬場が作られていったのです。

火葬場という名称にあるマイナスのイメージを払しょくするため「斎場」という言葉が採用された

日本の火葬の割合は99.9%以上世界的に見ても火葬の割合の多い国です。その背景には官民ともに作られた多くの火葬場があることと深い関係があります。やがて火葬は戸籍などに関する事柄であることから自治体などが運営し公的なものであったほうが好ましいとされました。そのため多くの自治体では火葬場が作られたのです。しかし、火葬場という言葉はあまり好ましいものではありません。遺体や死を連想させることから別の名称が求められたのです。そうしてつけられたのが本来祭祀を執り行う場所という意味であった「斎場」だったのです。

現在では斎場は「火葬施設」「葬儀式場」「その両方を含む施設」の呼称に

現在では斎場という名前は火葬を行う施設の多くに付けられています。また、斎場には時代の変化から葬儀を執り行うことができる葬儀式場も併設されるようになりました。そのことから火葬を執り行う火葬場、葬儀を執り行う葬儀式場、またその両方を併設する施設を斎場と呼ぶようになったのです。